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衛星追尾用ローテーターの製作

 

1. 製作の経緯

衛星通信をするにあたって、参考となるようなアマチュア局の設備について調べたところ、八木アンテナを利用するのが一般的であるとわかった。八木アンテナを使用する場合、アンテナを衛星に向け続けるために仰角・方位角ローテーター、加えてそれらを自動制御するための設備が必要となる。しかし、当サークルは仰角ローテーターや衛星通信用の自動追尾装置を所有しておらず、またそれらは手軽に購入できるような価格ではなかった。
 何か良い方法は無いものかと考えていた丁度その頃、Make(オライリー・ジャパン)08号に掲載されていた野尻抱介氏の『衛星追尾用超小型ローテーター』の記事が目に留まる。小規模な設備であれば、工夫次第で安価で手軽に自作できることを知り、その記事を参考にローテーターおよびその制御システムを自作するに至った。

 

2. 必要な機能と実現方法

 ローテーターとその制御システムを自作するに当たって、最低限必要な機能は以下のとおりである。
1 衛星の軌道情報から仰角・方位角を計算する
2 仰角・方位角の情報をサーボモーターの回転角度の情報に変換する
3 角度情報をサーボモーターへ送り、アンテナを回転させる

 

①の計算については衛星トラッキングソフト Orbitronを利用する。計算された仰角・方位角の情報はDDEクライアントアプリケーション WispDDEによって出力される。
②から③の処理はマイコンボードArduinoUNOで行う。パソコンとArduinoはUSB接続し、シリアル通信を利用して情報を送る。Arduinoからサーボモーターへの給電とデータ通信にはLANケーブルを用いる。電源はすべてパソコンからのUSB給電となる。

 

3. 製作過程

 ローテーターの製作に当たって、Make08号『衛星追尾用超小型ローテーター』の記事と、記事の執筆者である野尻抱介氏のWebページを参考にさせていただいた。Webページへのリンクは『参考文献・サイト』の項目に掲載してある。  なお、ローテーター製作に必要な材料のほとんどは、ホームセンターやインターネット通販で購入できるものであり、数千円でそろえることができた。

 

 サーボモーターとArduinoをLANケーブルで結ぶため、ローテーター本体とArduinoの両方にコネクタを取り付ける必要がある。LANコネクタのピン同士がショートしないよう、慎重に作業を進める。

 

ローテーター本体のフレームは木製である。ホームセンターで購入した板材から部品を切り出し、組み立てる。部品の組み立てには接着剤を使用し、サーボモーターや基盤は木ねじで取り付けた。ローテーターの設置には三脚を利用し、本体底面には接続用のナットが埋め込まれている。

 

 ローテーター制御の要となるArduinoにプログラムを書き込む。参考となるArduinoスケッチを解読する所からスタートし、処理を理解したうえでコードを書いた。Arduinoの基本的な機能だけでなく、シリアル通信やサーボモーターの仕組みなどについても勉強することになった。

 

 ローテーターとその制御用の設備が完成した。出来上がったものを動かしてみると、なかなかに格好が良い。自作した八木アンテナを取り付けると、自重でややフレームがたわむ。サーボモーター自体の耐トルク条件はクリアしているはずだが、動きがやや危なげであった。

 

4. 改良と変化

 前述のとおり、今回のローテーター製作にあたっては野尻氏の作品を主に参考にした。しかし、八木アンテナについてはこれと別に自作したものであり、小型であるとはいえ作例よりもやや長く重くなっている。また、サーボモーターの時間当たりの回転量に制限をかけていなかったため、角度が大きく変化する際にアンテナが高速に回転した。そのため、ローテーターのフレーム部分に過度な負荷がかかり、変形するという問題が生じた。
 この問題を解決するために、ローテーター本体のフレームを補強するとともに制御プログラムを修正した。補強は素人設計であるため付け焼刃感が否めないが、サーボモーターの挙動は以前と比べて大変安定したものになった。アンテナを取り付けて動作させてみると、若干アンテナが下向きになるが、ローテーター本体に異常をきたすことは無くなった。

 

5. 参考文献・サイト

・『Make: Technology on Your Time Volume 08』(オライリー・ジャパン)
 衛星追尾用のローテーターの他、Arduinoを用いたユニークな作品とその製作法が掲載されている。

 

・衛星追尾用超小型ローテーター・サポートページ : http://njb.virtualave.net/web/make/
 Make08号掲載の衛星追尾用ローテーターの記事を執筆した、野尻抱介氏のサポートページ。Arduinoスケッチや回路図の他、衛星通信に役立つページが紹介されている。

 

・PIC AVR工作室 : http://nekosan0.bake-neko.net/index.html
 Arduinoでシリアル通信を行ったり、サーボモーターを制御したりする仕組みや、簡単なプログラム例が掲載されている。

 

・Orbitron : http://www.stoff.pl/
 今回使用した衛星トラッキングソフトOrbitronが公開されている。

 

・日本各地の衛星通過時刻の予報 : http://www.jamsat.or.jp/pred/
 JAMSATのWebページ。衛星の通過時刻や方位・仰角などの予報データが公開されている。

 

・Live OSCAR Satellite Status Page : http://oscar.dcarr.org/
 海外の有志によるアマチュア衛星の受信報告が公開されているページ。